「医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン」再び

投稿日:2018年7月23日

カテゴリ:事務所ブログ

製薬会社MRの不適切なプロモーションを抑制しようという厚労省「医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン」の趣旨は良く判ります。
しかし、MRの不適切プロモーションは、MRが会社に忠実に、会社に利益をもたらそうとすればするほど起こりやすい。もちろんMR自身の社内評価やボーナスといった固有の利益の追求もあるでしょうが、それだけでは語り尽くせるものではありません。

製薬会社の売上を担うMRに課されるプレッシャーは大きいのです。不適切なプロモーションだけではなく、裏金をどこかで準備してキャッシュバックを約束して売上を確保する例もあります。それがバレそうになって自らの命を絶ったMRの例もあります。

ここまでくると、単にお上がガイドラインを業界に押し付ければいい、という問題では到底ないといえます。なぜそのような社内風潮になってしまうのか。製薬会社自らが根本的な企業理念を見直さない限り、現場はガイドラインの抜け穴を見つけるか、もしくは違反を隠す手段を巧妙化させるだけでしょう。

製薬会社は、何のために薬を作るのか。市民の健康で明るい生活のためではないでしょうか。そうであればまずは自らの従業員たちの、健康で明るい生活から始めよう。そのような意識改革が必要でしょう。

とはいえ、それが難しいことも身にしみてわかります。売り上げを上げ利益を上げてこそ、従業員の雇用を確保し続け税金を納め続けることができ、企業として存続できるわけですから。目先の売上を追うな、というのは言うは易し、です。

ですが、このバランスをとっていかないと、いずれはにっちもさっちもいかない事態がやってきます。予防法務は、危機が明瞭ではないがゆえに難しいものですが、このバランスをとった改革ができるかどうかが、今後の製薬業界の帰趨を決めるともいえるでしょう。