システム開発契約を巡る紛争 その2

投稿日:2017年2月18日

カテゴリ:事務所ブログ

システム開発契約を巡るトラブルで、次に多い類型は、「仕様変更に伴う納期遅延、料金の追加に関するトラブル」です。

発注者側は、システム開発の素人です。仕様や要件定義など、一度合意したものを変更すると、どれくらい納期が遅れ、どれくらい料金が追加されるのかなどについては、具体的に説明されなければ分かりません。

「納期に遅れたじゃないか。履行遅滞だ。損害賠償だ」「納期に遅れたのは、発注者側が仕様変更をしたからだ。開発者側に責任はない」「確かに仕様変更はした。しかし、それによってそんなに遅れるという説明は受けていない」「いや、説明はした」「聞いていない」という争いは非常によくあります。追加料金についても同様です。

このようなトラブルを避けるためには、打ち合わせごとにきちんと議事録を作成し、発注者、開発者双方、「確かにこのような話し合いの結果、こうすることに決めました」という証拠を作っておくことが極めて大事になります。「言った言わない」の水掛け論は、非常に消耗するものです。

開発者側にとって、「先に納期ありき」の厳しい状況の中で、「いちいち議事録なんか作っていられない。面倒くさい。そんな時間ない」というお気持ちはよくわかります。しかしいざというときのために、ここは必ず、押さえておきたいところです。

 また、システム開発契約において開発者側は、発注者側に対して、説明責任を負います。「今この段階で、この仕様を変更すると、どれくらい納期が遅れ、どのくらい追加料金が発生し、どのくらい全体に影響が出るのか」を具体的に説明しなくてはなりません。「うーん、ちょっと遅れちゃいますけど…頑張ります」だけでは、だめなのです。そして、先述のとおり、きちんと説明したことにつき、きちんと書面を残しておきましょう。