弁護士の役割~法律事務所が売るもの

投稿日:2017年10月15日

カテゴリ:事務所ブログ

よく、スターバックスはコーヒーを売っているのではない。サードプレイス、つまり、職場でも自宅でもない、しかしくつろげる、そういう空間、そういう時間を売っているのだと言われます。スターバックスはコーヒー屋です。しかしコーヒーだけを売っているのではないし、スターバックスに群がる人は、コーヒーだけを求めているわけではない、スターバックスはそこを十分に理解しています。

このように、人々が何を求めているのかそれを的確に把握しなければ、 ビジネスは成り立ちません。

では、私たち弁護士は何を売っているのでしょうか。法律事務所に来る皆さんは、何を求めているのだろう。

法律知識や裁判実務の経験。それらに基づくアドバイス。もちろんそれも求められていますし、私たちは、それを売っています。しかしそれだけではない。私は、そう考えています。

私たちは、トラブルに直面した企業に、ひとに、安心と、明日へ向かう勇気を売りたい。トラブルを抱えるひとや、企業の担当者さん、社長さんは、とても不安です。これからどうなるのか、どういう選択肢があり、どれを選ぶとどうなるのか、そのメリットとデメリットが判らない。このまま、相手の言うなりにするしかないのだろうか。訴えられたら、終わりになってしまうのだろうかと悩んでおられます。

しかし、どれだけ悩んでいても、時は流れていきますし、人生は進んでいきます。会社が生きている以上、ビジネスは進めていかなければいけないし、ひとが生きている以上、仕事をし、ものをたべ、或いは家族の世話をしなくてはなりません。悩み立ちすくんでいるままでは、それらに支障をきたします。こうして日常生活が、日常業務が壊れていくことが、実は、会社にとり、またひとにとって、一番困ったことなのです。変な言い方ですが、問題は、トラブルそのものではない。トラブルそのものよりも、トラブルに対する怯えや困惑、悲しみや怒り、こういった感情です。私たちには膨大な量のトラブルに関して、経験と知識がある。選択肢をよく知っている。それによって、怒りや悲しみを整理し、立ちすくんでいる皆さんに、手を差し伸べることができます。進むべき方針を示し、皆さんを安心させてあげることが、できる。

では具体的に、安心を売るとは、どういうことか。第一にそれは、お客様の不安を的確に把握すること。それに的確に回答し、今後の見通しを示すこと。採るべき行動を示し、可能な限り早く対応すること。そして第二に、対応した事実とその結果を、問題が、解決に向かって進みつつあることを、お客様に適時にご報告し、そして一刻も早い解決に力を尽くすこと。それにつきます。

不安は、抱えたままでは消えない、どころか、増大していくものです。不安を抱えて立ちすくむのではなく、何とかしようと動いてみること。そして、動くことが怖い時、動き方が判らないときに、私たちがお役に立てます。ま、中には、法律家から見るとまったく見当違いなことで激しく心配していらっしゃるお客様もいるものです。

お客様は、なぜ、弁護士のアドバイスが欲しいのか。それは、安心したいから、安心して、明日に向かっていきたいからです。ですから、私たちはそれに全力で応えます。ご一緒に、明日を探しに行きましょう。それは、必ず見つかるものですから。