弁護士報酬の決め方~成功報酬制か、タイムチャージ制か

投稿日:2017年1月24日

カテゴリ:事務所ブログ

弁護士報酬の取り方には、二つ方法があります。オーソドックスなものとしては、着手金、成功報酬制です。これは、事件を始めるときの着手金、事件が終わって、お客様に何らかの利益が発生した時にいただく報酬金、をあらかじめ定めておくというもので、昔から広く使われている方法です。
もう一つが、タイムチャージ制です。大手渉外事務所系がよく利用します。これは、株式の発行やM&A交渉など、渉外交渉などに用いられます。1時間〇万円、とあらかじめ決めておき、その案件にどれくらい時間をかけたか、弁護士が自ら記録し、それに基づいて料金をご請求する方法です。
どちらの方がお客様にとって望ましいのかは、事案によります。全く、一概には言えません。
紛争案件で、タイムチャージ制を採用すると、「勝っても勝たなくても、カネが貰えるのなら、弁護士のファイトが湧かないのではないか」とお思いになる方もいるようです。
しかし、これは違います。
弁護士は、いわばプロの喧嘩屋です。喧嘩屋が喧嘩をする以上、勝たないでどうするのか。何が何でも勝たなくてはいけないのです。それは、もちろん報酬をいただくことも大事ですが、報酬よりも、喧嘩をやる以上必ず勝つ、勝ち抜いて見せるという気概とプライドも、同じように大事なのです。
当然のことながら、「必ず勝ちます」とお客様にお約束することはできません。しかし死にもの狂いで勝利を目指すその執念は、タイムチャージ制だろうと、成功報酬制だろうと変わりません。そこはご安心ください。
ただ、タイムチャージ制は、弁護士の自己申告、良心を大原則にして成り立つものです。私は、かつて所属していた某大事務所であるパートナー弁護士から「風呂に入っていて、事件のことを考えたら、その風呂の時間もタイムをつけて客に請求するように」と指示されたことがあります。そのようなやり方をする弁護士もいることは事実です。
お客様が弁護士に依頼するかどうか、というとき、報酬の取り決めは非常に大事になってきます。これは、その弁護士をお客様がどこまで信用なさるか。逆に我々からすれば、アコギなことは致しません、誠実に全力を尽くします、というのを、どこまで信じていただけるか。という問題でもあります。
何にせよ、その時には、率直に疑問点などを弁護士に投げかけ、納得のいく委任契約を作成されることをお勧めします。