Q
国外財産は日本の相続税の対象になりますか?
A
被相続人や相続人が日本に住所を有している場合、国外財産も課税対象になります。
Q
外国でも相続税は課せられますか?
A
国により異なります。米国やフランスには相続税があり、中国,シンガポール,インドネシア等には現時点では存在しません。
Q
二重課税は回避できますか?
A
相続税条約や外国税額控除を使うことで回避可能です。
Q
相続税条約とは何ですか?
A
日本と特定の国との間で締結された、相続税や贈与税に関する二重課税を防ぐための条約です。たとえば,日米相続税条約などが有名です。
Q
生前贈与によって国際相続税を軽減することはできますか?
A
一定の効果があります。ただし各国の贈与税制度にも注意が必要です。
Q
海外にいる相続人と連絡が取れない場合はどうなるのでしょうか?
A
失踪宣告や不在者財産管理人を選任し、代理で手続きを進めることが可能です。
Q
外国人弁護士を雇う必要はありますか?
A
海外不動産や口座の手続きがある場合、現地弁護士の協力が不可欠なケースがあります。
Q
日本の弁護士だけで全てを処理できますか?
A
国内部分は可能ですが、海外部分は現地専門家との連携が必要です。
Q
国際相続手続きにはどのくらいの時間がかかりますか?
A
国内相続より長く、数か月から数年かかることがあります。とりわけ海外不動産や銀行口座の処理には煩雑な手続きを要し,時間がかかることを念頭においた方がよいでしょう。
Q
手続きにはどれくらいの費用がかかりますか?
A
ケースによって異なります。翻訳、公証、現地弁護士費用などが追加で発生する点が特徴です。
Q
どのような準備が効果的ですか?
A
遺言の作成、財産リストの整理、弁護士といった相続を扱う専門家への事前相談が最も有効です。
Q
海外の財産を日本における相続人間の遺産分割協議で分割することはできますか?
A
協議自体は有効ですが、実際の所有権移転のための登記手続等は財産所在地の法律に従って行う必要があります。
Q
日本の家庭裁判所はいわゆる国際相続に係る案件を扱うことができますか?
A
国内財産については扱うことができますが、海外不動産については管轄外です。
Q
国際相続を扱う弁護士はどのように選べばいいですか?
A
国際案件の経験や、外国の専門家ネットワークを持つ事務所を選ぶのが望ましいです。
Q
翻訳と通訳は必要ですか?
A
戸籍や遺産分割に関する協議書には翻訳が求められます。また、国際協議では通訳も重要です。
Q
国際相続は弁護士なしでもできますか?
A
可能です。もっとも実際上は非常に複雑な手続きと時間を要することが想定されますので、弁護士といった専門家に依頼するのが良いでしょう。
Q
相続が始まる前に専門家に相談した方が良いでしょうか?
A
国際相続の手続きは複雑多岐な事項にわたるため,事前に専門家に相談のうえ,生前のうちに遺言書の作成や財産整理をきちんと準備しておくことで,紛争の予防や相続手続きをより円滑に進めることができます。
Q
国際相続の第一歩は何ですか?
A
まず、被相続人の死亡事実を証明する公的書類(死亡証明書・戸籍など)を準備し、相続の対象となる財産の範囲を調査し,財産目録を作成することです。国内外の資産を網羅的に確認するのが第一歩です。
Q
海外資産はどのようにして確認するのですか?
A
銀行口座、不動産登記、証券口座、税務申告書などを調査します。現地専門家に依頼して調査することも有効です。
Q
海外の銀行口座はどのようにして見つけられますか?
A
遺族が持っている書類(通帳、カード、税務資料)を確認するほか、現地の金融機関に問い合わせる必要があります。現地専門家のネットワークを活用することも有益です。
Q
海外の不動産はどうやって確認すればいいですか?
A
現地の不動産登記所で検索します。多くの国では公的に所有権情報の調査を行う制度があります。
Q
財産調査に必要な書類は何ですか?
A
日本の戸籍謄本、死亡証明、遺言書、銀行の残高証明、不動産登記簿などが代表的です。海外の場合は翻訳や認証(公証)が必要です。
Q
日本の戸籍謄本は海外でも使えますか?
A
使用できますが,外国語翻訳とアポスティーユ(国際認証)が必要になる場合があります。
Q
アポスティーユとは何ですか?
A
外務省が発行する「国際的に有効な認証」です。海外で日本の公文書を使用する際に必要となります。「外国公文書の認証を不要とする条約(ハーグ条約)」批准国間では,外務省のアポスティーユ証明があれば,提出先国の駐日大使館・領事館の証明(領事認証)が不要となります。
Q
在外日本大使館または領事館で、居住証明や署名証明などの書類を取得できますか?
A
取得できます。相続手続では在留証明や署名証明が有効です。
Q
海外で日本の住民票は必要ですか?
A
原則として不要です。しかし,相続人の身分確認のために提出を求められる場合があります。
Q
誰が翻訳を担当すべきですか?
A
信頼できる経験豊富な翻訳者や専門の翻訳会社に依頼するのが良いでしょう。誤訳は大きなトラブルにつながります。
Q
日本の銀行預金の相続はどのように扱われますか?
A
遺産分割協議書や戸籍を提出して名義変更・払戻を行います。日本における国内手続は家庭裁判所が管轄します。
Q
海外の銀行口座はどのように相続されますか?
A
各国の法律と現地の銀行ルールに従い、日本の戸籍・遺言の翻訳、公証書などを提出します。
Q
銀行口座は死後どうなりますか?
A
原則として凍結されます。相続手続が完了するまで出金できません。
Q
複数の国に銀行口座がある場合はどうなりますか?
A
それぞれの国で現地の銀行ルールに沿って手続きを行う必要があります。
Q
株式や債券はどのように扱われますか?
A
証券会社に相続書類を提出して名義変更します。海外株式・債券は現地の法律に従います。
Q
日本で不動産はどのようにして相続するのですか?
A
遺産分割協議書を作成し、法務局で名義変更の登記を行います。
Q
外国不動産はどのように登記されますか?
A
現地の登記制度に従って行います。国によっては裁判所の承認が必要な場合もあります。
Q
日本の家庭裁判所は海外の財産を分割できますか?
A
家庭裁判所は海外財産に対して法的な処分権限を持ちません。海外財産は当該国の法律に基づき現地の手続きに従って処理する必要があります。
Q
不動産の共同保有は海外でも有効ですか?
A
国によって異なります。共同保有が認められない国もあります。
Q
海外の不動産はどうやって売却するのですか?
A
相続登記後に不動産業者を通じて売却します。現地の法律に従う必要があります。
Q
遺産分割協議はどこで行うのですか?
A
日本にいる相続人が集まって行うのが一般的ですが、海外在住者は委任状やオンライン会議で参加可能です。
Q
海外在住の相続人の署名は有効ですか?
A
有効です。ただし領事館での署名証明や公証(公証人が文書の内容や署名を確認し、公的証明を与える手続き)を受けることが求められます。
Q
相続人が遺産分割について合意できない場合はどうなるのでしょうか?
A
申立てにより,家庭裁判所における調停や審判手続きに移行します。
Q
海外の相続人は日本の調停に参加できますか?
A
海外に居住する相続人も参加可能です。書面参加やオンライン参加も認められる場合があります。
Q
海外財産の分割は日本の合意に基づいて有効ですか?
A
合意自体は有効です。もっとも,実際に海外現地で効力を有するには現地法に基づく承認手続が別途必要となります。
Q
検認とは何ですか?
A
遺言書が真正なものかどうかを家庭裁判所で確認する手続です。自筆証書遺言による遺言方式の場合、自筆証書遺言書保管制度を利用した場合を除いては,原則として,家庭裁判所の検認が必要となります(民法1004条)。検認手続は,相続人に対して,遺言の存在およびその内容を知らせるとともに,検認日時点における遺言書の現状や内容を記録して遺言書の偽造・変造を防止する証拠保全のための手続きにすぎません。したがって,検認を経なくとも遺言の効力には影響ありません。もっとも,遺言の提出を怠り,遺言の検認を経ないで遺言を執行したり,家庭裁判所外で遺言を開封するなどすると,5万円以下の過料に処されるので注意しましょう(民法1005条)。


