Q
国際相続の第一歩は何ですか?
A
まず、被相続人の死亡事実を証明する公的書類(死亡証明書・戸籍など)を準備し、相続の対象となる財産の範囲を調査し,財産目録を作成することです。国内外の資産を網羅的に確認するのが第一歩です。
Q
海外資産はどのようにして確認するのですか?
A
銀行口座、不動産登記、証券口座、税務申告書などを調査します。現地専門家に依頼して調査することも有効です。
Q
海外の銀行口座はどのようにして見つけられますか?
A
遺族が持っている書類(通帳、カード、税務資料)を確認するほか、現地の金融機関に問い合わせる必要があります。現地専門家のネットワークを活用することも有益です。
Q
海外の不動産はどうやって確認すればいいですか?
A
現地の不動産登記所で検索します。多くの国では公的に所有権情報の調査を行う制度があります。
Q
財産調査に必要な書類は何ですか?
A
日本の戸籍謄本、死亡証明、遺言書、銀行の残高証明、不動産登記簿などが代表的です。海外の場合は翻訳や認証(公証)が必要です。
Q
日本の戸籍謄本は海外でも使えますか?
A
使用できますが,外国語翻訳とアポスティーユ(国際認証)が必要になる場合があります。
Q
アポスティーユとは何ですか?
A
外務省が発行する「国際的に有効な認証」です。海外で日本の公文書を使用する際に必要となります。「外国公文書の認証を不要とする条約(ハーグ条約)」批准国間では,外務省のアポスティーユ証明があれば,提出先国の駐日大使館・領事館の証明(領事認証)が不要となります。
Q
在外日本大使館または領事館で、居住証明や署名証明などの書類を取得できますか?
A
取得できます。相続手続では在留証明や署名証明が有効です。
Q
海外で日本の住民票は必要ですか?
A
原則として不要です。しかし,相続人の身分確認のために提出を求められる場合があります。
Q
誰が翻訳を担当すべきですか?
A
信頼できる経験豊富な翻訳者や専門の翻訳会社に依頼するのが良いでしょう。誤訳は大きなトラブルにつながります。
Q
日本の銀行預金の相続はどのように扱われますか?
A
遺産分割協議書や戸籍を提出して名義変更・払戻を行います。日本における国内手続は家庭裁判所が管轄します。
Q
海外の銀行口座はどのように相続されますか?
A
各国の法律と現地の銀行ルールに従い、日本の戸籍・遺言の翻訳、公証書などを提出します。
Q
銀行口座は死後どうなりますか?
A
原則として凍結されます。相続手続が完了するまで出金できません。
Q
複数の国に銀行口座がある場合はどうなりますか?
A
それぞれの国で現地の銀行ルールに沿って手続きを行う必要があります。
Q
株式や債券はどのように扱われますか?
A
証券会社に相続書類を提出して名義変更します。海外株式・債券は現地の法律に従います。
Q
日本で不動産はどのようにして相続するのですか?
A
遺産分割協議書を作成し、法務局で名義変更の登記を行います。
Q
外国不動産はどのように登記されますか?
A
現地の登記制度に従って行い、国によっては裁判所の承認が必要な場合もあります。
Q
日本の家庭裁判所は海外の財産を分割できますか?
A
家庭裁判所は海外財産に対して法的な処分権限を持ちません。海外財産は当該国の法律に基づき現地の手続きに従って処理する必要があります。
Q
不動産の共同保有は海外でも有効ですか?
A
国によって異なります。共同保有が認められない国もあります。
Q
海外の不動産はどうやって売却するのですか?
A
相続登記後に不動産業者を通じて売却します。現地の法律に従う必要があります。
Q
遺産分割協議はどこで行うのですか?
A
日本にいる相続人が集まって行うのが一般的ですが、海外在住者は委任状やオンライン会議で参加可能です。
Q
海外在住の相続人の署名は有効ですか?
A
有効です。ただし領事館での署名証明や公証(公証人が文書の内容や署名を確認し、公的証明を与える手続き)を受けることが求められます。
Q
相続人が遺産分割について合意できない場合はどうなるのでしょうか?
A
申立てにより,家庭裁判所における調停や審判手続きに移行します。
Q
海外の相続人は日本の調停に参加できますか?
A
海外に居住する相続人も参加可能です。書面参加やオンライン参加も認められる場合があります。
Q
海外財産の分割は日本の合意に基づいて有効ですか?
A
合意自体は有効です。もっとも,実際に海外現地で効力を有するには現地法に基づく承認手続が別途必要となります。
Q
検認とは何ですか?
A
遺言書が真正なものかどうかを家庭裁判所で確認する手続です。自筆証書遺言による遺言方式の場合,自筆証書遺言書保管制度を利用した場合を除いては,原則として,家庭裁判所の検認が必要となります(民法1004条)。検認手続は,相続人に対して,遺言の存在およびその内容を知らせるとともに,検認日時点における遺言書の現状や内容を記録して遺言書の偽造・変造を防止する証拠保全のための手続きにすぎません。したがって,検認を経なくとも遺言の効力には影響ありません。もっとも,遺言の提出を怠り,遺言の検認を経ないで遺言を執行したり,家庭裁判所外で遺言を開封するなどすると,5万円以下の過料に処されるので注意しましょう(民法1005条)。
Q
遺言検認にはどのくらいの時間がかかりますか?
A
遺言書の検認に法的な期限はありませんが、遺言者死亡の事実を知った後や遺言書を発見した後は「遅滞なく」検認を申し立てる必要があります(民法1004条)。日本の検認期日は通常,申し立てからおおよそ1ヶ月後に期日が設定され,手続きは1日で終了し,遺言の検認調書が作成されます(家事事件手続法211条,同規則114条)。
Q
遺言検認にはどれくらいの費用がかかりますか?
A
遺言書1通につき収入印紙800円分の手数料ほか,連絡用の郵便切手分の料金で済みます。
Q
日本の遺言は検認で認められますか?
A
公正証書遺言は検認不要ですが、自筆証書遺言は自筆証書遺言書保管制度を利用した場合を除いては,原則として家庭裁判所での検認手続きが必要となります(民法1004条)。
Q
公証とは何ですか?
A
公証人が文書の内容や署名を確認し、公的証明を与える手続きです。
Q
相続税は日本で申告する必要がありますか?
A
申告が必要です。被相続人や相続人が日本に住所を持っていた場合、日本の相続税法が適用されます。
Q
相続税を海外で支払った場合、日本で控除できますか?
A
外国税額を控除できる場合があります。海外で課税された相続税相当額を日本の相続税額から一定の限度額で控除することが認められています。
Q
日本の相続税の納期限はいつですか?
A
相続税の申告および納税は、被相続人が死亡した日の翌日から10か月以内に行う必要があります。
Q
海外では締め切りが異なりますか?
A
はい。米国は9か月、フランスは6か月など、国によって異なります。
Q
日本とアメリカの両国で納税申告が必要な場合はどうなりますか?
A
両国で申告が必要です。日本では外国税額控除により二重課税を回避します。
Q
外国の銀行が日本の書類を拒否した場合はどうなりますか?
A
翻訳や公証を追加し再提出します。必要に応じて現地弁護士に依頼します。
Q
原本は必要ですか?
A
必要です。コピーでは受け付けられないことが多く、原本と翻訳書類を提出する必要があります。
Q
手続きはオンラインで行えますか?
A
一部オンライン可能ですが、原本書類の提出が求められる場面も多いです。
Q
相続人が外国語を理解できない場合はどうなりますか?
A
翻訳や通訳を介して手続を進めます。法務・税務に精通した専門家による翻訳が望ましいです。
Q
海外に住む相続人はどのようにして契約書に署名できますか?
A
領事館や公証役場で署名証明を受ける方法、または電子署名を利用する方法があります。
Q
日本の弁護士は国際相続においてどのようなことを行いますか?
A
遺産分割協議の調整、戸籍の収集、書類翻訳、公証の手配、家庭裁判所への申立てなど幅広く対応します。
Q
外国人弁護士はどのような業務を扱いますか?
A
現地の不動産登記、銀行手続、裁判など、日本の弁護士では直接対応できない部分を担当します。
Q
税理士も必要ですか?
A
国際相続では税務が複雑になるため、税理士の関与は必須です。
Q
弁護士と税理士の両方を雇うべきですか?
A
法律と税務の両面から対応するため、両方の専門家の連携が望ましいです。
Q
国際相続に係る弁護士料金はどれくらいの費用がかかりますか?
A
国際相続にかかる弁護士費用は、案件内容や財産の規模、関連する国の数によって大きく変動します。数十万円から数百万円程度が目安です。
Q
国際相続は国内相続より難しいですか?
A
難しいです。国ごとに言語・法律・税制,財産の執行手続きに違いが生じるため,相続完了までに長期化する可能性が高いです。
Q
国際相続が始まる前にどのような準備をすればよいですか?
A
財産目録の作成、当該財産が所在する国の方式に沿った遺言書の作成,家族への情報共有が有効です。また,家族信託(認知症等により財産管理が自身でできなくなってしまったときに備え,事前に家族に自分の財産管理や処分ができる権限を与えておく制度)などの設定を行うことも有効です。
Q
海外在住者は相続に備えてどのような準備をすればよいですか?
A
居住国と日本の双方で有効な遺言書を準備し、資産の所在地を明示しておくことが重要です。また,双方の遺言内容に矛盾がないよう確認することも必要です。
Q
国際相続を放置するとどうなるのでしょうか?
A
財産が凍結され、利息や税務上の不利益が生じます。たとえば日本では、2012年度に導入された国外財産調書制度により、5,000万円を超える国外財産を保有する納税義務者が申告を怠ると、刑事罰(1年以下の懲役または50万円以下の罰金)が課されることがあります。
Q
国際相続手続で最も重要な点は何ですか?
A
被相続人の生前段階において、事前に財産および所在地を把握し、財産目録を作成すること、各国の方式や法律に沿った遺言書を準備することです。各国ごとに遺言を作成する場合は内容の矛盾がないよう調整が必要です。また、弁護士等の専門家の助言を受けながら、法定期限内に手続きを進めることが極めて重要です。


