女性経営者、代表取締役社長の抱える、株主・取締役等に関する紛争と悩み

投稿日:2017年8月24日

カテゴリ:事務所ブログ

当事務所では、株式、株主総会や取締役、取締役会、その決議(特に選任、解任、退任など)などに関する紛争を幅広く扱いますが、近時、特に女性の会社代表者、経営者からのご相談、お悩みを多く聞くようになりました。

「父が亡くなって、私しか会社を回せる人間がいなくなってしまった」「夫が急死して、私が代表者になったのだが、ほかの取締役や株主など、親族が嫌がらせをしてくる」「このまま経営していって大丈夫だろうか」

もちろん、ご自身で起業され、長らく会社を経営してきた女性からのご相談も数多くあります。しかし最近、上述のような、相続と会社経営、株主権や取締役の扱いといった問題が、複雑に絡み合うご相談を、特に女性から多くお受けするように思います。

会社を守り、従業員たちを守らなくてはならないという強い思いと、会社法務を自分が知らないということへの自覚と不安。そして、他の親族、とくに男性親族である株主や取締役らとの意見の食い違い、経営方針の不一致や感情的な対立に直面しての苦悩。

女性が男性の上に立ち、男性を指揮し、指導していく、というのは非常に難しいことです。それを受け入れられない男性は多い。女だから、というだけで、どれだけ実績をあげても売り上げをあげても、ほかの親族、株主や取締役らに受け入れられない。「女は黙ってろ」「女のくせに」「何も知らないくせに偉そうに」という無言の圧力、ときには面と向かってそう言い放たれながらも会社を守り、日々の業務をこなしていくというのは、非常な精神的苦痛を伴います。

お気持ちは痛いほどわかります。重要なのは、感情的な高ぶりや精神の疲れとは別に、日々の業務を粛々と、正しく処理していくこと。何株株式を持ち、取締役という地位にある自分にはどれだけの権限があり、相手にはどれだけの権限があるのか。自分には何ができるのか。どのような手段が法的に許され、許されていないのかを明白に理解したうえで、打てる手を正しいタイミングで打っていくことです。整理していけば、打つ手は見つかることが多いものです。

会社経営においては、多方面から湧き上がる問題を迅速に処理していかなくてはなりません。それに加えて精神面、感情面のコントロールが難しくなってきたとき。あるいはご不安や、疑問があるときには、お気軽にご相談いただければと存じます。立ち止まっていてもいいことはない、立ち止まっていてはいけないのです。顔を上げて歩き出すしかないし、歩き出せば、道はできてくるものです。そのお手伝いができるのであれば幸いです。