スモールM&A 円滑な事業承継のために

投稿日:2017年7月9日

カテゴリ:事務所ブログ

スモールM&Aアドバイザー養成講座というセミナーで、M&A関連訴訟について、少しだけお話をさせていただきました。

スモールM&Aというのは、報道をにぎわすような大きなM&Aではない、中小規模のM&Aです。主に、社長の高齢化などによって、会社を手放したいとか、起業したいけれども一から会社を起こすのは大変。どこか手ごろな会社を買い取り、承継する形で始めたい。というような場合に用いられる、金額が若干少なめのM&Aを指します。売買代金が何百万というものから、1億程度のものでしょうか。

 

このような場合でも、もちろんトラブルは生じえます。売買契約締結後に、契約締結前と話が違う、とトラブルになる場合。契約締結後に、長らく対象会社に勤めていた従業員や取締役が、反乱を起こす場合。契約締結交渉が、成立を目前として破談となり、それまでに生じた費用の処理を巡ってトラブルになる場合、などです。

と、職業柄、トラブルになった事例ばかり、つい、挙げてしまうのですけれども、スモールMAは、これからの我が国でますます需要が急増するでしょう。また、そうでなければなりません。ただでさえ高齢化、少子化が進む今、創業者、経営者、その家族が、せっかく血のにじむような苦労をして維持してきた企業、その技術や社会貢献を絶やしてはならないからです。

トラブルなくスムーズに、売り手も買い手も従業員も取引先もみな満足する、三方よしのスモールM&Aを行うためには、誠実なアドバイザーと、的確な法務DDが絶対に必要です。「必要最低限のDD」で済ませようという発想は、なるべく安く早く、ディールをまとめたいと考える当事者の立場から、理解できないわけではないですが、決してお勧めはいたしません。なぜなら、M&A成立後にトラブルになった場合の方が、予防法務DDの何倍も、何十倍も、カネも時間も労力もかかり、失うものが大きすぎるからです。

今回私をこの講座の講師に呼んでくださった方は、M&Aアドバイザーの齋藤由紀夫さんという方です。正直私は、齋藤さんに会うまで、「MAアドバイザー」「金融コンサルタント」「金融アドバイザー」を自称する人間は9割詐欺師、と考えていました。それくらい、トラブルが多いのです。

しかし齋藤さんと知り合い、こんなにまじめに誠実に、アドバイザー業をなさる方もいるのだと非常に感銘を受けました。齋藤さんはいつも、アドバイザー業の要諦の第一はビジネスに誠実であることだと、口癖のようにおっしゃいます。まさにその通りです。わたくしたちも、お客様に誠実に、どこまでも誠実を尽くして、仕事をさせていただきたいと思います。