会社経営をめぐる紛争~創業者と現経営陣

投稿日:2017年5月23日

カテゴリ:事務所ブログ

会社創業者が引退に際し、親族ではなく、長年一緒に働いてきた取締役、或いは従業員に、代表取締役の地位を譲る。
けれど、会社の株式だけは、創業者とその一族が持ち続ける…。
この形態の事業承継は、非常に頻繁にみられます。
しかし、その結果、株主側と現経営者の意見が対立し、紛争化したというケースもまた、非常に多くみられるのです。

創業者側は単に会社の株式を保有しているだけではなく、会社の債務を連帯保証している場合があります。株式を手放したとしても、連帯保証から外れることはできません。その結果、いったんは引退して会社の経営から手を放したはずなのに、実は一番、経営に切実な利害関係を有しているのは、創業者そのひと、という事態も多く発生するのです。
このような場合に、創業者側と現経営陣の対立は一層先鋭化します。

しかし、会社は基本的には株主のものです。株主が総会を開いて現経営陣の退陣を決議してしまえば、経営陣側としても打てる手が限られてきます。ないわけではありませんが形勢不利です。そうならないために、経営陣側も必死で有利な状況を作ろうとします。

このように、基本的には、総会での決議が会社内紛争の帰趨を決します。しかし、さらに厄介なのは、多くの中小企業は同族会社で、誰が何株を有する株主なのか、明確ではないことが多いのです。総会の議事録がない、株主名簿さえも存在しないとなると、状況の整理がややこしくなります。
問題は一つ一つ整理してから、意思決定の最高機関である総会に臨まなくてはなりません。その総会の招集や審議のプロセスにも、会社法は細かい規制を置いており、これに従う必要があります。そうでないとせっかくの決議が、無効確認、不存在確認の仮処分や本訴にかけられてしまうことになるからです。

いずれにせよ、会社経営をめぐる対立は、慎重にそして迅速に処理しなくてはいけません。小回りの利く、機動的なアドバイザーが必要です。私たちの事務所は、大きな事務所ではありません。しかしいざというときに、お客様のために、小粒だけれどもぴりりと辛い、よく効く山椒のような存在でありたいと願っています。特に機動性にかけては自信があります。一歩でも半歩でもよいリーガルサービスを、一人でも多くのお客様に。精進を続けてまいります。