紛争は「要改善」のサインです。

投稿日:2017年4月28日

カテゴリ:事務所ブログ

体調不良は、私たちに、今のままの生活ではいけない、改善しなくてはいけないと教えるサインです。高血圧なら、食生活、生活習慣を変えなければなりませんし、糖尿なども同じです。これらは、「そのままではいけない、何かを変えて、新しい生活を始めなければならない」と、私たちに教えてくれています。
紛争も同様です。
判り易い例でいくと、離婚です。一度は一生を共に過ごすと誓い、時には子どもまでなした夫婦が別れを決断するということは、一大事です。やはり、何か原因がある。その何かを変えて、新しいスタートを切りましょう、というサインです。
ただ紛争の場合、病気と違って「これがよくなかったのか」というその原因が、すぐにはっきりわかるとは限りません。そしてそれが判らない、なぜこうなったのか、なぜこんな目に合わなければならないのかが判らない。これは辛い。とかく「納得できない」というのは人間にとって最もつらいことの一つです。
ここに、弁護士が紛争に介入する意味があります。法的な知識と豊富な経験を有した第三者の眼と意見を通じて、ご本人は相手が何を考えているのか、なぜこうなったのかを知ることになります。紛争の原因と向き合うことは、自分と向き合うことと同じです。ここがポイントです。これができれば、納得と、紛争の解決、そして新しいスタートが飛躍的に近づきます。
会社さんでも同じです。契約書トラブルは「今まで通り、相手から出された契約書にメクラ印を押していてはいけない」ということを教えてくれます。システム開発契約のトラブルは「無理な受注をしてはいけない」とか「お客様とのコミュニケーションを怠ってはいけない」、「打ち合わせ議事録は正確に作らなくてはいけない」などなど、今までの業務習慣を改善しなさいというサインです。
この紛争が何のサインなのか、何を教えようとしているのか。何をどう改善して、新しいより良いスタートを切ればいいのか。ただただ紛争に怒り、ショックを受け、嘆き悲しむ段階を経て、こう考えられるようになれば、解決は近い。新しいスタートも近いのです。そして、「怒りの段階」よりもこの「再スタート模索段階」の方が、よほど気が楽になります。この段階に入るとお客様の顔が違ってきます。心が軽くなってくるのでしょう。
弁護士は喧嘩屋です。しかし喧嘩は、ただ、戦えばいいってものではありません。どうせするなら、有意義な喧嘩を、効率よく、適確に戦わなければなりません。これができれば、その紛争から得られるものは、非常に大きなものになるのです。